吉田 統彦(よしだ つねひこ) <プロフィール>
東海高校を経て名古屋大学医学部卒、同大学院修了。前衆議院議員。眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。
まず、過疎地の医療提供体制を守り、そして各都道府県の医療崩壊を防ぐこと単体で考えた場合、9年の義務年限の間は少なくとも過疎地や離島など地域医療に従事する自治医大の大幅な定員増強と義務年限を果たさない場合の罰則強化は極めて有効です。
自治医大では毎年各都道府県から2~3名の入学者がいますが、卒業後に各出身都道府県に戻って9年間、これを義務年限と言いますが、知事の指定する医療機関で勤務することで、貸与された学費の返還が免除されるというのが自治医大の医師派遣の仕組みですので、各都道府県との予算に関する折衝と対応が必要にはなりますし、極端な例で恐縮ですが、毎年各県から自治医大に10名の入学者を受け入れれば、過疎地や離島の医療は大きく変わっていくはずです。
また、加えて義務年限を果たさない場合の罰則強化も必要になってくると思います。医師免許の返納というのはあまりに酷ですが、返納金を現行の約6千万から、国民の為に過疎地の医療に従事する医師を育成するという最大の目的を断たれた国家と国民の損失を計上し、2億円程度に増額するのは有効だと考えます。
更に産業医大の改変も場合により大変有効な手段となり得ます。そもそも産業医大は西日本に自治医大を作ろうという構想がその起源であるとも言われています。加えて産業医大は産業医を育成するべく設立され、厚生労働省からの予算措置がなされている大学であるにもかかわらず、現状の在学生や卒業生の多くは産業医の業務を選択するモチベーションが著しく低下しています。
であれば、少し乱暴では?との誹りは甘んじて受けますがそもそもの着想通り、産業医大を第二自治医科大学として改変すれば、その9年間の義務年限の間の地域医療、そして過疎地や離島での医療は更に充実することになるでしょう。次回以降も些か劇薬となるかもしれませんが、次々と処方箋を発行していきたいと思います。
前衆議院議員 医師 吉田統彦拝