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  • 『吉田つねひこの医気軒昂~医学部を志す若者へ』~Vol22~

  • 吉田 統彦(よしだ つねひこ) <プロフィール>
    東海高校を経て名古屋大学医学部卒、同大学院修了。前衆議院議員。眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。

    吉田つねひこ先生公式ブログ

    Medical tourism (メディカルツーリズム)を考える:その8

    タイのMedical Tourism<丙>

    本稿では、実際にPublic Sectorの雄である
    国立チュラロンコン大学医学部付属病院(以下チュラ大)における
    診療風景を覗いてみましょう。

    同大学は1917年にワチラーウット王(ラーマ6世)によって設立された
    タイ最古かつ権威のある大学です。

    大学名はチュラロンコン大王(ラーマ5世)に由来し、
    現在18の学部と多数の研究施設があり、
    キャンパスはバンコク市街地に位置しています。

    出身者は政財官界の上層部にひしめき、
    日本の東京大学に比する事が出来るこの大学の附属病院は
    自己負担無料の公的保険である前項で述べた
    30バーツ医療制度を利用する一般庶民が利用するエコノミークラス病院です。

    外来待合室や病室などほとんどの場所に冷房がありません。

    外来患者は1日4,000人超で、年間1,200万人が病院を訪れます。

    加えて入院患者は年間約5万人となっています。

    当然早朝受付をしても診察は夕方になり、
    患者は平均気温30度以上のバンコクで蒸し暑い待合室でひたすら待つしかありません。

    しかしながら東南アジアで最初に心臓移植をした病院でもあり
    医療レベルは全体的に高くなっています。

    にもかかわらず勤務している医師達は
    夕方以降Personal Sectorのファーストクラス病院で外来や手術のバイトを行っています。

    ファーストクラス病院との最も大きな違いはアメニティであると思われます。

    CT,MRIは患者が多いため、
    長い待ち日数を要し、救急外来(ER)は野戦病院なみとなっています。

    そんなチュラ大ですが、
    2010年のカンボジアのカジノで300万円儲けたあるバックパッカーの男女のブログが
    患者にとって高価なPersonal Sector(民間医療機関)との対比も含め
    Public Sector(公的医療機関)のメリットとデメリットを知る上で大変参考になります。

    彼らは2010年2月中旬、男性がカンボジアで原因不明の左足の腫脹、疼痛、熱発
    およびそれに伴う譫妄状態となり、
    陸路バンコクまで辿り着きチュラ大を受診します。

    本症状だと蜂窩織炎や深部静脈血栓症
    (Deep vein thrombosis, DVT 俗にいうエコノミークラス症候群
    あるいはロングフライト血栓症)の疑いもあり、大変危険な状態ともいえます。

    バンコクについた時点でまともに歩行できない状態で、
    下腿部は赤紫色に変色しています。

    ちなみに彼らは4年間ほど海外旅行を続けており、
    海外旅行保険に加入していませんでした。

    その為、高いPersonal Sectorは行けず、Public Sectorであり、
    タイの東大に相当するチュラ大はタイ一番の病院で、
    タイ最高レベルの医療を安く受けることができるはずだと考え、
    同大に夕方に到着し、救急外来を受診します。

    タイ語表示のみで理解不能でしたが、受付の看護師は英語ができ、案内してもらいます。

    書類に名前書き、パスポート見せ、診察カードを作るのに、20バーツ支払い、
    診察室 9番へ行く様に指示を受けます。

    ここではたったの1時間待ちで診察が受けられ、医師と看護師は英語が堪能で、
    医師はDVTの可能性があり、肺塞栓になるおそれすらあると考えます。

    鑑別のため200バーツ支払い、膝のX線も撮影しますが、それは問題ありませんでした。

    その為、超音波検査をして、DVTであれば、1週間ほど点滴治療を要するため、
    自分で検査の予約をして来る様にと言われたので、
    痛い足を引きずって検査の予約をしに行きます。

    長時間待たされた上で予約票を受け取りますが
    検査日は2010年9月と書いてあります。

    なんと半年以上先です!

    さすがに驚き、診察室9番に戻り、医師に確認すると、
    苦笑いをしながら“検査がいっぱいで、9月にしか入らないようだ。
    どこか、私立病院で検査してきてくれ!”と言われました。

    彼らは“こ、ここは、タイの東大のチュラ大病院だよね?
    タイ一番の病院だよね?
    いつ肺塞栓になるかもしれない、
    一刻を争う危険な病気かもしれないのに、なんなんや!?
    しかも、ドクターが、検査のできる私立病院を紹介してくれるならまだしも、
    自分で探せだとさ。
    日本でこんなことって、超重大問題なんとちゃうの?”(原文ママ)と感じたそうです。

    結局 3日後の9時に、血管専門の医師の予約をし、
    超音波検査してもらう病院は、自分たちで探しました。

    次稿に続く。

    元衆議院議員 医師 吉田統彦拝

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