吉田 統彦(よしだ つねひこ) <プロフィール>
東海高校を経て名古屋大学医学部卒、同大学院修了。前衆議院議員。眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。
前稿まで6回に渡り、
新設医大及び医学部定員増加政策を
本当に国民そして医療崩壊を食い止める為のものにする為の処方箋
および現状のままの医師数でも医療崩壊を食い止める為の処方箋について献策してまいりました。
本稿では何度か触れてきた
米国以外の諸外国の医師の適正配置に係る動向と事例に関してご紹介したいと思います。
一般的には
1:専門医の認定
国レベルの基準に基づく研修修了を専門医認定の必要条件としている国が多い。
2:研修医の配置
各分野での研修・配置ポストの上限が設定され、民間企業の就職ポストと同様に、
人気のある診療科や地域は競争も激しく、人員が不足している科・地域にも人材が配置される。
3:開業に対する規制
国・地方政府が開業数を規制している国が多い。
という方向性を多くの国が持っています。
具体的に欧州の中心国家である二か国に事例を報告します。
【ドイツの例】
保険医の認定には、医師免許に加えて一般診療又は専門科目に関する
所定の卒後研修を修了していることが条件となっている。
開業医については、保険医需要計画に基づき、人口密度等に応じた各地域区分と、
14の診療科ごとに保険医として開業できる医師の定員が定められており、
定員を10%以上上回る地域・診療科では、原則として新規開業は認められない。
【フランスの例】
医学部生は卒業時に全国試験を受け、
本人の希望と試験の成績に基づき各専門診療科及び研修地域に適正に配置され、研修を受ける。
医師は専門医と一般医に区分され、専門医は専門診療科ごとに決められた期間(4~5年)の臨床研修を行う。
一方、一般医は約2年間の研修を受けた後、多くが開業医となる。
一般医と専門医の診察科目は医療行為規定により厳密に規定され、同規定に反する医療行為はできない
これらの諸外国の政策と現状をも参考にし、
日本の医療風土と将来の人口動態、
医療圏の変遷および医療需給や日本国特有の医療環境
そして現場の医師と患者の希求する医療の在り方等を踏まえた政策を
今すぐに考えていく必要があると考えます。
元衆議院議員 医師 吉田統彦拝
4月20日に開催された本年度第1回『吉田統彦の未来の医師養成講座』で、
昨年度の門下生伊藤慈紘君(藤田保健衛生大学医学部)から感謝の花束贈呈がありました。