前回に引き続き、生徒の言葉から。
『数学は言い換えですね。』
聞いたときは、何を言っているのかわかりませんでしたが、もう少し説明させると納得。
例えば、「2次方程式が異なる2実数解を持つ」は、
「判別式D>0」と言い換える。
「2つの線分が垂直」なら、
「ベクトルの内積=0」。
この生徒は、数学の問題を解いていて、
このような『言い換え』が頻繁に登場していることに気付いたのでしょう。
命題どうしの言い換えも重要。
「すべてのxについて、f(x)>0」は「f(x)の最小値>0」。
「sin(x)の方程式が解を持つ」は「sin(x)=tに置き換えて得られる方程式が、-1≦t≦1で解を持つ」。
基礎知識(公式や基本解法)を習得できた後、
その知識を使って実際の問題を解くときに最も重要なのは、
日本語の文を数式に翻訳することと、命題を同値な命題に書き換えること。
この翻訳、書き換えを駆使しながら、複雑な問題から答えに向かって少しずつ近づいていくのです。
前回の『定理はショートカット』もそうでしたが、
勉強を続けていけば、個々の問題、個々の単元にとどまらず、
高校数学に共通する何かに気付くことがあるようです。
我々講師が言ってもダメ。
自力でそういった“何か”に気付いたときに、
生徒は新しいステージに入ることでしょう。
私はこれを「不連続なレベルアップ」と呼んでいます。
さて、みなさん。新しい年度が始まり、新しい学習が始動したことと思います。
この1年間、有意義な勉強ができるように、お互いに張り切っていきましょう。
藤保医学部に後期合格した伊藤慈紘君をはさんで右側が吉野由宏先生。左側は高田将史先生。