みなさんこんにちは!
ドラゴンスター山下こと、山下龍星です。
数学物語第8回、今回はみなさんの大好きな(大嫌いな?)確率に関するお話です!
今年から大学入試に新課程が導入され、受験数学にも激変が起こりました。
数Aの範囲だった『集合と論理』が数Iに移動したことや、
『整数の性質』が新たに登場したことなど、受験数学は大きな変わり目の年を迎えています。
そして確率の範囲で言えば、『条件付き確率』が数Cから数Aに移動し、
センター試験の出題範囲に含まれるようになったことが挙げられます。
実は普段質問対応をしている中で、この『条件付き確率』に関する質問が非常に多いのです。
なので今回は、この『条件付き確率』の仕組みについて、
例題をもとに考えていきたいと思います。少し大変ですが一緒に頑張りましょう!
それではまず、問題からです。
例題.
赤色のカードが2枚あり、それぞれ1、2の番号が書いてある。
また、青色のカードが3枚あり、それぞれ1、2、3の番号が書いてある。
これら5枚のカードを袋に入れ、よくかき混ぜてから1枚のカードを取り出すことを考える。
このとき、
(1)引いたカードが赤色で、なおかつ番号が1である確率を求めよ。
(2)引いたカードが赤色だったとき、そのカードの番号が1である確率を求めよ。
みなさん、(1)と(2)の違いがわかりますか?
(2)が『条件付き確率』というものです。
『条件付き確率』の特徴は、
問題文が『Aが起こったとき、Bが起こる確率を求めよ』という形になっていることです。
まずはこの形をしっかり覚えておいてくださいね。
それではいよいよ問題に移りたいと思いますが、
その前に公式の紹介をしておきたいと思います。
公式.
Aが起こったとき、Bが起こる条件付き確率PA(B)は、次の式によって与えられる。
PA(B)=P(A∩B)/P(A)
ただし、P(A∩B)は『AとBがともに起こる確率』、P(A)は『Aが起こる確率』のことである。
少しややこしいですが先ほどの問題でいうと、
事象Aが『引いたカードが赤色である』ことで、
事象Bが『引いたカードの番号が1である』ことですね。
さぁ、ここから問題を解いていきましょう。
(1)は『AとBがともに起こる確率を求めよ。』ということです。
つまり全部のカードを全体(5枚)と見て、
そこから赤の1(1枚)を引く確率を求めればよいので、P(A∩B)=1/5となります。
これはみなさんが中学校で習ったことのある、通常の確率問題ですね。
それでは、いよいよ(2)に移ります。
問題文には『引いたカードが赤色だったとき、
そのカードの番号が1である確率を求めよ』と書いてありますね。
これをどう捉えるかが、この問題を理解できるかどうかのポイントです。
そのためには想像力を働かせることが、非常に大切です。
例えば、みなさん自身がこのゲームに参加しているところを想像してみてください。
袋の中を混ぜ混ぜしたあとに、カードを1枚引くとき、チラッと赤色が見えてしまったとします。
このとき、あなたが持っているカードが赤の1である確率はいくつですか?
自分の持っているカードが赤だとわかった以上、
赤いカードは2枚しか無いのだから、番号が1である確率は1/2ですね。
つまり赤いカードを全体(2枚)と見て、そこから赤の1 (1枚)を引く確率を求めればよいのです。
このように、条件付き確率と通常の確率の相違点は『事象Aを全体としてみる』ということです。
(1)では全体を全事象(カード5枚)として扱いましたが、
(2)では全体を事象A(赤いカード2枚)として扱いました。その違いだけです。
この考え方を使えば問題を解くことは可能ですが、
それでは先ほどの公式は一体どういう意味なのでしょうか。ご説明します。
全事象がQ通り、事象AがA通り、事象A∩BがB通りあったとします。
このときの条件付き確率PA(B)は、事象Aを全体としてみたとき事象Bが起こる確率ですが、
すでにAは起こっているので、正しくは事象Aを全体としてみたとき事象『B∩A』が起こる確率となります。
これを式にすると、
PA(B)=B/A
となります。さらに分子分母を全事象Qで割ると
PA(B)=(B/Q)/(A/Q)=P(A∩B)/P(A)
このようになり、公式が導かれました。
実際にこういった問題が出現したときには、公式に当てはめて考えればそれで十分です。
しかしながらその公式が導かれる過程をしっかり理解しておくことで、
かなりの応用力がつきますし、数学と仲良くなることができます。
なのでみなさん今日の話を忘れないようにしてくださいね。
いよいよ秋も深まりつつある今日この頃ですが、
あっという間に大みそかがやってきます。
一日一日を大切に過ごしていってくださいね。
ドラゴンスター山下龍星