みなさんこんにちは!ドラゴンスター山下です!
前回第4回の切片公式の回は、みなさんもう見ていただけましたでしょうか?
高校生あるいは受験生のみなさんにとって、
知っておいて損はない内容となっておりますので、
まだ見ていないという方は是非ご覧になっていただけると嬉しいです。
それでは早くも第5回目となりました数学物語ですが、
今回も前回に引き続き、テストの際に役立つ実用的な公式についてお話したいと思います。
今回のテーマは『サラスの公式』です。
センター模試、あるいは記述模試などで、
座標軸上に書いた三角形や四面体の体積がなかなか求められない、
あるいは方法がわかっていても計算が大変そう..
などといった悩みに遭遇したことがある人は、非常に多いと思います。
そんなとき、このサラスの公式を使えば、
座標平面上・座標空間上の三角形および四面体の面積や体積を
一瞬で求めることができるのです!
なかなか素晴らしいと思いませんか?
それでは、まず公式をご紹介いたします。
今回は平面ver.と空間ver.で二種類あります。
(ⅰ)~平面ver.~
座標平面上の3点O(0.0)、A(a.b)、B(c.d)に対して、三角形OABの面積Sは、S=|ad-bc|/2で与えられる。
(ⅱ)~空間ver.~
座標空間上の4点O(0.0.0)、A(a.b.c)、B(d.e.f)、C(g.h.i)に対して、四面体OABCの体積Vは、
V=|aei+bfg+cdh-ceg-bdi-afh|/6で与えられる。
以上が公式となります。
(ⅰ)に関しては既に暗記している人も多いのではないでしょうか。
それに比べて(ⅱ)のほうは初耳の人も多いと思います。
(ⅱ)の公式の構造は一見複雑で覚えにくそうですが、
今から言う覚え方を聞けば超絶カンタンですので、是非この回に暗記しちゃってください。
それでは(ⅱ)の覚え方ですが、絶対値記号の中は、
『左から右へ向かう方向にかけて足したもの』ひく『右から左へ向かう方向にかけて足したもの』です。
例えば最初のaeiという項は(Aの一番左)×(Bの真ん中)×(Cの真ん中)というふうに見ています。
ちなみに一番右or左まで来たら次は一番左or右まで戻るというルールです。
このように見ると、
前半は(A左)(B中)(C右)+(A中)(B右)(C左)+(A右)(B左)(C中)となっているのがわかりますね?
後半はその逆でCの一番右からスタートしています。
この覚え方は『サラスの方法』と呼ばれ、絵にするとよりカンタンに覚えることも出来ます。
ここには絵がかけないので省略しますが、気になる人は是非聞きに来てくださいね。
それでは最後に、この公式の使い方(どういう場面で使えるか)についてですが、
元々この公式を使うには上述のように『求める図形の頂点の座標がすべてわかっている』
かつ『そのうちの一つが原点である』という2つの条件が必要です。
ですが2つめの条件『そのうちの一つが原点である』は、実は無いに等しいのです。
なぜかというと、『求める図形のすべての頂点がわかっている』とき、
そのうちのどれか一つが原点と重なるように、
図形全体を平行移動することにより、
いかなる場合でも2つ目の条件をクリアすることができるからです。
例えば、A(2.3)B(-2.-3)C(1.0)のとき、△ABCの面積Sを求めよ。
という問題があったとします。
このとき、Cが原点に重なるように△ABC全体を平行移動すると、
3点D(1.3)E(-3.-3)F(0.0)による△ABCと合同な△DEFがつくれます。
このとき、サラスの公式から
S=|1(-3)-3(-3)|/2=3
と導けるのです。
つまり、今日やった『サラスの公式』は、
三角形あるいは四面体の頂点すべてがわかっているだけで使うことができる
非常に有用な公式だということです。
また特定の図形問題の場合には、
問題設定で座標軸が与えられていない場合でも、
自分で座標軸を用意することでサラスの公式が使えるときもあるので、是非頭に入れておきましょう。
それではみなさん、これからも一緒に数学を楽しんでいきましょうねo(^▽^)o
名古屋大学理学部数理科学科 山下龍星