思うに、希望とは、もともとあるものだともいえぬし、
ないものだともいえない。
それは地上の道のようなものである。
もともと地上には、道はない。
歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。~魯迅
あまりにも有名な魯迅の言葉。
小説『故郷』の結びである。
魯迅は社会レベル、民族レベルで語っているのだが
そのスケールを個人レベルに凝縮して翻案すれば
受験生にも当てはまるものとなる。
思うに、志望とは、もともとあるものだともいえぬし、
ないものだともいえない。
それは心の中の念のようなものである。
もともと心には、念はない。
思う回数が多くなれば、それが念になるのだ。~プリティ中野
思う回数が増えれば、やがて点がつながって線になる。
私たちは『今』という点を引っ張って人生という線をつくっているわけだが
『念』という字の組成がまさにそうであるように
今、今、今の連続体で『心』に刻んだ『念』をぶつけてこそ
志望というにふさわしいのではないか。
なんて40年近く経った今だから言えるのであって
当時の僕はもちろんそんな風に言葉を弄んでいたわけではなかったし
そんな余裕もなかった。
毎日が夢中だった。
北摂山系南端に位置する五月山の紅葉
北摂の山がところどころ紅く燃え
自転車のハンドルを握る手袋に雪がちらつき
商店街のスピーカーから流れる赤鼻のトナカイにしばし入試を忘れ
・・・そして除夜の鐘とともに年が明けた。