つい先日まで明け方と夜にしか冷え込みませんでしたが、
急に日中も肌寒い日が増え、秋の深まりを実感させられます
(僕は冬が嫌いなので憂鬱です…)。
前回はガンの種類や特徴について述べてきましたが、
今回はその続きとしてヒトはなぜガンで亡くなるのかについて話していきたいと思います。
前回話しましたが、
ガンとは、ガン細胞が異常に増殖・成長して腫瘤を形成する病気です
(白血病などの例外もありますが)。
このような爆発的な増殖や成長には膨大なエネルギーを消費しますし、
すでに存在しているガン細胞が生きていくためのエネルギーも必要です。
では、このエネルギーはどこから来るのでしょうか?
答えは、患者さんの体から、です。
患者さんがせっかく食事をして得たエネルギーを
ガン細胞が横取りして使ってしまうというイメージですね。
こうして患者さんの体内では自分の正常な組織に使うエネルギーが徐々に減っていき、
一方でガン細胞はどんどん増殖していくという悪循環に陥ってしまい、
次第に患者さんは衰弱していってしまうわけです。
ならガン細胞が使う分も考慮していつもより余計に食べればいいのではないの?
とお思いの方がいらっしゃるかもしれません。
もちろん、それが可能なら患者さんの衰弱も遅くはなるのでしょう、
ところがガンにやられて元気の無い患者さんはなかなか食欲はわきませんよね。
おまけに消化器系(食道、胃、腸など)にガンができてしまった患者さんは消化・吸収不良になり、
せっかく摂取した栄養が体内に吸収されにくくなっています。
また、免疫系がやられてしまうと(白血病など)、
普段は罹患しないような弱い病原菌にも感染しやすくなり、
感染症のリスクが格段に上昇します。
ただの風邪でも食欲は減退するのです、
そこにガンが加わるとなると食べることすらままならなくなるのは想像に難くありません。
こうして食欲の減退による栄養・エネルギー不足、
免疫系減弱による感染症のリスクにより患者さんは弱っていき、
循環系や呼吸器系など生命維持に必須の器官がやられてしまうと、
息を引き取られます。
以上に述べたことがガンでヒトが亡くなる大まかな理由です。
むろん、ガンの種類ごとに起こる病態が多様なので、
それぞれのガンによる死因はさらに多岐に及びますから、
上に述べてあることはあくまでガン全体を包括的にみたときの簡単なまとめとして捉えてください。
次回は細菌とウイルスの違いについて触れながら、
インフルエンザや風邪などの一般的な感染症について述べていきます。
ではまたお会いしましょう。
名古屋大学医学部医学科4年 花城勇人