せわしくキーを叩く9月2日現在、
僕の学年はちょうど学校が始まりました。
放課後になりメプレスに仕事にやってくるわけですが、
ここで受験生の皆さんはひとつの強い疑問が生まれていることではないでしょうか?
―――――大学の夏休みは2ヶ月くらいあるんじゃないんですか?――――――と。
そうです、僕にもそういう時期はありました。
しかし4年生以降になると夏休みは1ヶ月あればいいほうです。
大学生も思われているほど休みはないんですよ。
(人生のなかで最も融通の効く期間だと強く意識して日々を送るべきステージだと思いますが)
さて、今回は前回の受験生時代の振り返りに続き、受験に関することを述べていきたいと思います。
今回のテーマは、「高校生物とはいかなる教科で、どのような勉強法をとるべきか」といったことです。
これは僕が塾講師のアルバイトを始めてから今日に至るまで、
生物選択の生徒さんに幾度となく聞かれてきた難題でもあります。
受験生それぞれにあった勉強法が必ずあり、
それらも千差万別であるといった状況のなかで明確な答えを出すことは非常に難しいのですが、
これまでの指導の経験、あるいは受験生時代の経験を踏まえて、
僕なりの一つの見解を述べたいと思います。
まず、本題に入る前に、
そもそもなぜこういった質問が寄せられるのかについて考えていきたいと思います。
普通、理系科目を勉強するとなると次のような方法が取られるのではないでしょうか。
最初に教科書であらかた公式や定理を覚え、わからない場合は参考書を見つつ理解し、
知識が定着したら問題集で演習を重ねていく。
そして演習の中でわからないものがあれば、再び教科書や参考書に立ち返る、
これの繰り返しに尽きると思います。
しかし高校生物にはこの勉強法がなかなか通じません。
理由は2つあります。
1つ目は、明確な公式や定理がないことです。
例えば数学の公式のように等式が書かれていてその周りを派手に飾ってあるというのであれば
どこを覚えればいいのかわかるのでしょうが、生物にはこういったことはありません。
2つ目は、有名な参考書や問題集が何一つありません。
数学ならチャート、大学への数学、物理なら良問の風、エッセンス、重要問題集、
化学なら重要問題集、新演習、新研究など、様々な有名参考書や問題集が浮かびます。
しかし生物にはこういったものがありません。
生物に限っては、重○問○集に収監されている問題の何が重要かわからないレベルです。
あるいは「○○のこれで受かる生物!」のような参考書の胡散臭さと言ったらこの上ありません。
以上に上げた2つの理由により、どのような勉強をしたら良いのかわからないのです。
高校生物の勉強のしにくさが理解されたところで、
次に生物の出題方法に絡めて勉強法について述べていきたいと思います。
受験における生物の出題のされ方は大きく2つに分けることができます。
それは、知識問題と実験考察問題です。
知識問題は選択肢問題か記述問題かの違いはあるにせよ、
知っていれば解ける、知らなければ解けないといった単純な問題です。
実験考察問題は知識だけでは解けず、
実験に即して生物的な思考回路で考える必要がある問題です。
これまた僕のこれまでの見解になりますが、
受験生物全体を通して出題比は
知識問題:実験考察問題=8:2、点数比は7:3程度といったところでしょうか。
したがって出題比と点数比は総じて約3:1とみなせますから、
この比率で知識の暗記と、実験考察問題の記述対策をしていけばいいのだろう、
と思いたいのですが、実際は全く違います。
ではみなさんはどれくらいの比率で勉強すれば良いと思いますか?
お考えください。
さて、僕なりの答えを発表しますが、
ここでひとつ強調したいのは、今皆さんの抱いている見当とはおそらく大きく異なるということです。
皆さんは、「実験考察問題の方が難しいのだから、
実際には3:1の比率よりは大きなウェイトを実験問題に振らなければならないだろう」
といったものではないでしょうか。
先に答えを言いましょう、勉強の比率は知識暗記:実験問題記述対策¬=9.9:0.1です。(と僕は思っています。)
ではなぜここまでの比率の差が生まれてくる(あるいは僕はこの比率が理想的だと思っている)のでしょうか。
これはそれぞれの出題方法の特徴に起因します。
知識問題については先に述べましたが、知識があれば解けます、なければ解けません。
したがって単に様々な知識を身に付けることに集中すればよいのですから、暗記すればよいわけです。
では実験考察問題はどうでしょうか。
実験考察問題で問われているのは研ぎ澄まされたひらめきや聡明な考察力ではありません。
むしろ、問題文に書かれている実験操作と思考回路に則って考えていく柔軟さです。
まず、高校生物範囲から出題される以上、理科系の単科大学などごく一部の大学を除いては、
これまで受験生が勉強してきた事柄に関する実験操作しか出題されませんし、
多くの場合その実験は資料集や教科書に登場します。
また、教科書や資料集というのはそれらの実験に関して
考察まで行ってくれた状態で書籍化されているわけですから、
その実験に関する大方の知識と見解は、
書籍の該当ページを開くことで簡単に得ることができます。
つまりは、教科書や資料集を暗記することで、
実験問題に対する柔軟性を養うことが出来るわけで、
実験問題も結局は暗記すればよいということになります。
ただ、長い文章の記述形式で答案を書かされる以上、
自分の知識を問題に即した形に変形する必要があります。
そのため、最後のほんの少しの時間を記述の仕方のルールを学んだりすることに使えばいいわけです。
ここまでをまとめますと、知識問題、実験考察問題とも対策としては暗記することが最重要かつ最優先で、
実験問題に関しては、答案の書き方を学ぶためにほんの少しの時間を費やしてあげれば良いということになります。
最後に、ここまで述べてきましたことはすべて僕の主観であることを強調しておきます。
さらにその上であえて述べさせていただきますが、
高校生物は教科書と資料集のみを用いて暗記し、
問題演習に関しては学校で配布された教科書傍用問題集
(セミナーやアクセス、リードなど)程度に留めることが最良の勉強法であると僕は確信しています。
名古屋大学医学部医学科4年 ノーベルスターレット花城勇人
左からキング・オブ・オイドン加藤、五稜郭高田、Nobel Starlet花城