単刀直入に。
本番直前期にあって君たちに言えることをまとめてみました。
君たちの参考になるなら、幸いです。
まず、受験日当日までの勉強に関して。
「受験直前にあって特にやるべきことはなんだ?」とよく問われます。
もちろん、「今このタイミングでこういうことをやるのが効果的だ」という積極的なものから、
「この段階になってできることはこういうことくらいだ」とかいう消極的なものまで、
直前期に相応しい課題は各教科ごとに存在していると思います。
僕の専門は国語ですが、国語にも恐らくそういうモノは存在しますし、
そういう提案をしてくれる先生方もいらっしゃると思います。
僕自身は、「直前に特にやるべきこと」について別の角度からアドバイスします。
すなわち、「前日前夜まで、自分ができないものを発見し、それをできるようにするということを繰り返すこと」。
今の君には、何ができていない? できていないのはどの教科? どの科目? どの単元・分野?
君たちが4月から始めた「勉強」っていうのは、「できないものをできるようにする作業」だったはずです。
だったら、それを最後の最後まで続けてください。
繰り返しますが、確かに「誰にとっても本番直前にやれば役立つこと」は、おそらく存在します。
でも、それは「君自身にとって本番までにクリアしなければいけない課題」を押しのけてまでして
こなさなければいけない課題なのでしょうか?
君に今見えている課題は、何ですか?
それは、「受験生」一般が見るべき課題と、完全に同じですか?
冷静に、自分が今できていない課題を探す。
それに向き合う。
こうしたスタンスも、また本番直前にあっては尊いのではないでしょうか。
次に、受験前夜に関して。
「受験会場に持っていくといいのはどんな参考書?」とよく問われます。
結論から言うと、二つのカテゴリーを想定して、当日持っていくものを選んでくれるといいでしょう。
ひとつは、「実用アイテム」です。すなわち、これから受ける試験に関して実際に「利」になりそうなもの。
例えば、国語で言うと、漢字練習帳・・・古文単語帳・・・漢文句法集・・・。
偶然にも暗記対象から漏れていたり記憶から抜け落ちていたりして、そこで初めて習得する・・・。
そして、いざ試験開始で冊子を開いたら、まさしく先ほど見た漢字・単語・句法が問われている・・・。
可能性は低いですが、ありえなくもないです。そういう良い意味での「悪あがき」のために、
何か一冊持っていくのはどうでしょうか?
もうひとつは、「呪術的アイテム」。
こちらには、どちらかというと「実用」性はありません。
なぜなら、自分がそれを使って散々に勉強してきて、
何だったら「○ページにはこんな話があった」「△ページからはあの問題が出ている」・・・
なんていうレベルまで頭に入っている参考書やテキストです。
手垢も付き放題・・・付箋も貼り放題・・・そういう、ウンザリするほど見てきた一冊です。
もちろん、こういう一冊は、もう完璧に覚えているわけだから直前における新たな知識の獲得はありません。
でも、君に知識を与えてくれる代わりに、「自信」を与えてくれます。
ボロボロになるまで勉強してきた、その苦労が可視化された形でこびりついているその一冊は、
「やることはやった」ということを自分に見せてくれるものです。
試験直前に極度の緊張でやられそうになっている人には、
こういうメンタル補強をしてくれるものの方が「実用」アイテムよりも意義あるものであるはずです。
「実用」性・・・「呪術」性・・・自分に意味のあるアイテムはどっちなのか・・・。
当日持っていくものを選ぶ際の参考に。
最後に、試験中に関して。
この一年間、君たちはいろんな勉強をしてきました。
自分の受ける試験でおよそ出うるものを、なるべくたくさん勉強してきました。
でも、その努力もむなしく、本番は君を何らかの仕方で裏切ります。
散々やってきたアレが出ない・・・。orz
出ないと思って無意識に避けてきたコレが出た・・・。orz
多かれ少なかれ、君たちは何かの教科・科目・単元で必ずそうした事態に見舞われます。
これは、必然です。
向こうは、君の勉強してきたものを想定して出題範囲を決めているわけではありませんから。
緊張している君たちにとって、そういう「想定外」によるメンタルダメージは大きいかもしれません。
それこそ、その先にある設問、その先にある大問、その先にある教科、
あるいは、明日ある全ての教科に影響を与えてしまうくらい・・・。
大事なのは、それを笑い飛ばせる構えです。
「想定外」に揺れない心です。
もう一度言います。
君のやってきたことのうちいくらかは、出ません。
君がやってこなかったことも、試験では出ます。
それを知っていてください。
知っていれば、「想定外」ではありませんから。
心を攻めてはきませんから。
以上、三点です。
では、君たちの健闘を祈ります。
安達雄大(2015年1月10日)