あちこちの村や町では、夏まつりや盆踊りで賑やかな夜が続きます。清涼感を漂わせる花火のドカーンと言う音を聞くと夏が終わり、人々は一斉に再び活動し始めます。
子供たちにとっては長い休みの中で、クラブ活動に熱中したり宿題の処理に孤軍奮闘したり、それぞれにこの夏を過ごしたに違いない。世の親たちは子ども達を気遣いながら何かと子育てに戸惑いながら汗を流して過ごしてきたであろう。時には、早く学校へ行ってくれないかと愚痴を吐いたであろう。夏の小休止の時が終わりと過ごしやすい季節がやってきます。大人も子供たちも多様な活動が再び始まります。
さて、皆さんは「リハビリ」という言葉を聞いたことがありますか。骨折したり、大きな病気で手術をした後、しばらく歩かれなかったり、身体を利用することが出来ないので体の各部の機能が衰えたり活動が弱まり治療を終えても体の機能が働きません。そのために機能回復をさせることを言います。この「リハビリ」で最も注意すべき事はころぶなということです。この時期に転ぶと機能の回復を遅らせるばかりでなく回復困難となることがあると言うからです。
人間の足腰は使わないと次第に弱まり、体ばかりでなく、脳やこころも同様となります。ですから体や頭は常に動かしよく使えと言うのです。中学生や高校生でいえばよく勉強することです。勉強は教科・科目に限りません。広い意味で学校生活の全てについて、自分を高め、広めてくれるものを学ぶことと考えます。まさに夏休みは私たちにとってリハビリの期間であろう。
子供たちへのリハビリの一つ方法を提案したいと思います。子供たちの中には勉強が嫌い・苦手という人もいて、勉強から逃げたり努力しない人がいます。これでは脳もこころも活動しません。そういう人はますます勉強が嫌いになります。勉強の嫌いの人は次の「五つのき」が不足しているので補って下さい。
第一に「動機」です。具体的に何のために学習するのかと言うことです。―親子で 職業観を話し合う機会を持つことです。
第二に「やる気」意欲です。自ら目標達成のためにやり抜こうとする気持ちです。― 家族旅行や、遠出でしたりした時を利用して、汗を掻きながらゴール点まで徒歩で行き着くことです。
第三に「根気」人間が新しいことを修得するには何度も何度も繰り返し努力することです。勉強に最も必要なことです。― 家事の手伝い(玄関の掃除、テレビ画面のふき掃除等)、を少しの時間でできることを日課とする。
第四に「年季」です。年季とは十分な時間をかけて継続してやり抜くことを言います。― 継続は力となります。
第五に「和気」こころを健やかにして人の話を積極的に聞く態度を持ち、教えて下さいと言う気持ちを表すことです。― やって見せ、やらせる、褒めて、ひと声「ありがとうね。助かるわ。」と声をかける。
この五つの「き」があれば、暗記、技能的学習であれば百パーセント修得できます。
こころについても、体や脳と全く同じです。人が社会の中で生きていく上で必要な心情、例えば、人の立場にたって考える、思いやりとか美しいものに感動する等のこころは生まれ乍にして全ての人が持っているのです。そのこころは日々の生活において、実際に働かなければ次第に枯渇していきます。人を思いやり、親切にしたり、果たすべき責任を果たすことは人のためでなく、自分の心を広め、高めるためのものです。
皆さん、一年の中で最も暮らし易い季節です。勉強にスポーツに、この「五つのき」を活用して下さい。この年の終わりには、きっと「やった!」という満足感、充実感を味わうことができるでしょう。