力の「確認」は力の「獲得」ではない
突然ですが、「この時期あるある」です。
↓
赤本のページの端に、
「○/□」という数字のメモがある(□が大問ごとの設問の数、○が正解数)。
それが「18/20」だと、安心する。
それが「11/20」だと、不安になる。
9回「18/20」が続くと、「あ、点数が安定してきたな」と思う。
そして次の10回目が「11/20」だと、急に今までの9回が「偶然」に見え、不安になる。
センターでも、一緒。
「150/200」だと安心。「120/200」だと不安。
「11/20」や「120/200」は、
「18/20」「150/200」に上げなければいけない。
そこでハマる行動パターンが、「満足する数字が出るまで次の問題を解き続ける」。
多分それ、「満足する数字」が出たら出たで、
「これがこの先も続くだろうか・・・?」という別の不安に襲われるだけですよ?
そもそも、そんな確認のために解くんだったら、
問題と時間と労力の無駄遣いになっています。
あるいは上のような行動にハマらないなら、それはそれで、「先生に相談しよう」となる。
こんな経緯から、この時期になると頻繁に受ける質問は、例えば以下のようになる。
「自分は140点とれているが、あと20点ほしい。どうしたらいい?」
「次の模試までに前の模試からあと偏差値20上げたいんだけれど、どうしたらいい?」
正直、頭痛いです。
あと20点足りない君は、何ができていないのか。
偏差値20足りない君は、どんな解き方をしていて、その解き方のどこがマズいと思っているのか。
そうしたことをききかえすと、大体の子は口ごもってしまう。
ああ・・・完全に「結果」としての「数字」しか見てない・・・。
第一に、それは本番ではありません。
第二に、得点や偏差値というのは、何かができるようになった結果であって、
それ自体が何かをすることで上がっていくものではありません。
第三に、全ては点数に一元化されるにしても、点数になる前の各設問は、それぞれに全く別の課題です。
それをひとまとめに点数にして「できている」「できていない」と考えている時点で、
自分のやるべきことが完全に見えなくなってしまいます。
「単語の意味がまだパッと出てこない。覚えなきゃ。どうしたらいい?」
やり方あります。教えてあげます。
「評論より小説の方ができていないことが多い。何が足りない?」
足りないものは多分指摘できます。教えてあげます。
「漢字が書けません。どうしたらいい?」
この時期に何言ってんだ?・・・とは思うが、ま、「突貫工事」はできます。教えましょう。
「点数良くする! 偏差値上げる! どうしたらいい?」
・・・どうやって? 逆にやり方教えてくれ・・・。
まず、記入したい気持ちをグッとこらえて、その「○/□」をやめませんか?
「18/20」で安心するのではなく、その反対側の「2/20」に何ができるか、考えませんか?
「18/20」が嬉しいのは分かりますが、
実際の本番で反対側の「2/20」ばかりが出題されたら、君は「0/20」ですよ?
「11/20」で不安になって終わるんじゃなくて、
その「9/20」の「解けなかった方」と全力で格闘しなさい。
その「9」個ができなかったのは、何を見ていなかったから?
何を覚えていなかったから? 何を使おうとできなかったから?
それがちゃんと分かれば、その「9/20」が出ようが、
もともとできていた「11/20」が出ようが、君は本番では「20/20」ですよ。
「不安解消」「自分のでき具合の実感」を求めて数多くの大問を解くことより、
1題から発生した「ノビシロ」と格闘しましょう。
それが「勉強」です。
2015/10/17 安達雄大記