吉田 統彦(よしだ つねひこ) <プロフィール>
東海高校を経て名古屋大学医学部卒、同大学院修了。前衆議院議員。眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。
医師の適正配置という観点から言えば、
現状は医師の各地域における偏在だけでなく、
各診療科の偏在も大きな問題となっています。
例えば外科医は全体として減少傾向にあるだけでなく、
40歳代の技術を有する外科医たちは、
過酷な勤務医の労働環境に耐えきれず開業する事も多くあります。
また金銭的な理由で勤務医を辞めるケースもあります。
その際に彼らは自らの有する技能を生かすことが出来るのでしょうか?
答えはごく一部を除いて“NO”です。
多くの外科医を有する大きな外科病院に再就職する場合や
肛門科を標榜しての開業であれば、
今までの技能は多少なりとも生きてきますが、
驚くべきことに豊富な臨床経験を有し、
世界一の手術技能を持った日本の外科医たちの多くは、
外科に加えて(もしくはそれすらせずに)内科・胃腸科・整形外科を標榜して開業し、
しかも実際の診療の主体も内科・胃腸科・整形外科となる事がほとんどです。
医療資源の損失という意味ではソフト面での計り知れないダメージという事になります。
他にも産婦人科や小児科などの医師はやはり、
その過酷な労働環境や訴訟などのリスクで、
民主党政権の誕生による勤務医の労働環境の改善や
外科・産婦人科・小児科・救急医療の再建を最重点項目として医療制度改革を行うまで
減少の一途を辿ってきました。
特に昨今は日本の若い医師や医師を目指す若者たちが欧米で良くみられるように、
低リスクもしくは低パフォーマンスで高収入を得られる診療科を選択する傾向も増えてきています。
こういった状況下において、
日本における自由標榜性(全ての医師が自分の標榜する診療科を自由に決めることが出来る制度)は、
医療が国家戦略として国民の健康や命を守るために医療は存在するという前提であれば、
大きなひずみを生む原因になっている訳です。
次号ではそれを改善解決するための唯一で絶対な政策を考察していきましょう。
前衆議院議員 医師 吉田統彦拝
地域の防災訓練で