みなさんこんにちは!ドラゴンスター山下です!
前回の数学物語は少し抽象的な内容だったこともあり、
今回のテーマは、読んでくれた皆さんが明日からすぐ使える、
そんな即戦力になるような、より具体的な公式について書きたいと思います。
今回僕が選んだのは『切片方程式』です。
まず、題材の公式は以下の通りです。
二点(a,0),(0,b)を通る直線の方程式は、x/a+y/b=1 で表される。
ただしaとbは共に0でない任意の実数である。
みなさんが普段使っている一般的な方法は、
直線が通る二点がわかっているとき、
傾きを求めたうえで、公式に代入するというスタイルでしょう。
その一般的な方法は、わかっているのがどの二点でもよいという点で万能ですが、
どうしても計算量が多くなってしまいます。
それに対しこの切片方程式は、直線が通る二点が(a,0)と(0,b)
つまり、x切片とy切片に限定される分、万能性は失われてしまいますが、
この特定の場合には、高速で直線の方程式を求めることができる公式なのです。
例えるなら皆さんが普段使っている方法は万能だが仕事の遅い何でも屋さんで、
今回の切片方程式はその道のスペシャリスト、専門家といったところでしょうか。
無論、受験勉強では前者を使えるようになることが最低ノルマになりますが、
後者を使いこなせる人間はより高いレベルの点数をとることができます。
特に、こういった類の公式が最も真価を発揮できるのはセンター試験のときです。
時間制限がみなさんの集中力を奪っていくなかで、
こういうシンプルかつ高速な公式がぽーんと一つ使えれば、
時間短縮できるだけでなく、自分のリズムに乗りながらその後の問題を解いていけます。
一通り基本的な学習が片付いた受験生は、
こういったことも意識してみてはいかがでしょうか。
次に、この公式の証明をしておきます。
この証明は以下のように3ステップ方式になるのですが、
そのロジックが特徴的なので、ぜひご覧ください。
1. x/a+y/b=1は二点(a,0)(0,b)を通る。
2. 二点(a,0)(0,b)を通る直線は一つしかない。
3. よって(a,0)(0,b)を通る直線はx/a+y/b=1で表される。
ステップ1だけいいじゃないか、という人がいるかも知れませんが、
数学を愛しながら厳密に証明をするとなるとステップ2が必要になります。
証明のロジックは以下の通りです。
1. 問題の条件を満たすものを自力で一個求める。
2. 問題の条件を満たすものが一つしかないことを証明する。(他に答えがないことを示す)
3. 2によって1の正当性が示された。
1.で自力で解を探してきているところが数学としてあまり美しくない部分ではありますが、
以上のロジックは難解な証明問題で使われることが多々あるので、
考え方は心に留めておいてください。
以上が今回の切片方程式の説明になります。
新しい公式を知ったときは、証明まで理解し、意味を把握しておくと忘れにくくなります。
同時に数学と仲良くなれる第一歩にもなります。
ぜひ、意味を理解したうえで、ガンガン利用していってくださいね。
山下龍星拝