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  • 『吉田つねひこの医気軒昂~医学部を志す若者へ』~Vol20~

  • 吉田 統彦(よしだ つねひこ) <プロフィール>
    東海高校を経て名古屋大学医学部卒、同大学院修了。前衆議院議員。眼科医。医学博士。愛知医科大学医学部客員教授。昭和大学医学部客員教授。名古屋大学医学部非常勤講師。名古屋医療センター非常勤医師。

    吉田つねひこ先生公式ブログ

    Medical tourism (メディカルツーリズム)を考える:その6

    タイのMedical Tourism<甲>

    本稿以下の数稿では、タイのMedical Tourismに関して考察していきたいと思います。

    その中心となるのは官民一体となった国策としてのMedical Tourismの推進と
    タイの首都であるバンコクの病院における格差医療の光と影です。

    2011年1月に出版された「病院がトヨタを超える日」の著者で、
    カンボジアの医療システム立て直しに尽力されている北原国際病院理事長の北原茂美医師は、
    今Medical Tourismでもっとも注目されている国は前稿までで述べてきたインドであり、
    その源泉は豊富な人材力であると分析しています。

    現状では確かに、本稿で述べるタイが外国人患者受入れ数に関して世界一多いのは間違いありません。

    しかしながら北原医師はこういった医療で外貨を稼ぐタイの発想そのものは間違ってはいないが、
    最近タイ国内で中東の富裕層の患者が増加し、
    その結果としてタイ国内における医療格差が顕在化しており、
    自国民を置き去りにした医療は通常あり得ない為、
    医療格差の拡大でタイのMedical Tourismは早晩行詰るのではないかと見ています。
    それでは先ずはタイのMedical Tourismが大きく発展した経緯と現状を考察いきましょう。

    東南アジア10か国から成るASEAN(Association of Southeast Asian Nations、東南アジア諸国連合)には
    現在Medical Tourismが盛んな国を含みますが、
    かねてより交通の要衝に位置し“製造のハブ”として名高いタイが、
    “Medical Tourismのハブ”としても近年急成長を果たしています。

    その背景の基盤には、タイには高度な医療設備を完備した病院が多く存在し、
    更に欧米で訓練を受けた専門医による質の高い医療提供体制が整っている事が挙げられます。

    その為近年は中国、ロシア、中東諸国等からの外国人患者が急増し、
    市場を大きく底上げしています。

    実際JCI認証病院は、2012年時点でタイ国内に15病院存在しています。
    またタイの主要な民間病院は、海外におけるプレゼンスを高める為に、
    海外にも病院を設置することによりグループ展開をはかり、
    加えてグローバル展開のある健康保険企業と提携をして
    外国人患者が母国における保険をそのままタイ国内で適用可能にする等、
    国際的なネットワークと利便性を強化する事により、
    外国人患者の誘致に成功しているケースも多く見られます。

    更に、近年におけるタイにおける高水準の医療施設及びホテル建設への積極的な投資が
    同国のMedical Tourism市場の拡大に大きく貢献し始めています。
    特に優れた医療インフラを整備することにより、
    海外で最新の技術を身につけた医師が十分に活躍できる場を構築でき、
    結果として質の高い医療人材の確保につながっているという相乗効果を生み出しているようです。

    こういった民間の動きに呼応するようにタイ政府では
    タクシン政権以降、外貨獲得目的でMedical Tourismを推進する国策を施行してきており、
    2002年にはタイ国政府観光庁(Tourism Authority of Thailand, TAT)がメディカルハブ構想を発表し、
    Medical Tourismに加えて医療投資を誘致し、
    医療系の人的資源の開発・成長を促進する政策を進めてきました。

    近年では「世界の健康増進サービスセンター」へと成長していく為に
    5カ年戦略計画(2010~2014年)を打ち出すなど、
    Medical Tourismの発展および促進に寄与しています。
    また、最近ではMedical Tourismで訪れる外国人患者へのビザ発行手続きの簡素化をはかる等、
    国としての受け入れ体制も更に整備されつつあり、
    タイで医療サービスを受ける外国人患者は年々増加しています。

    TATの発表によると、2002年に約63万人であったタイへの外国人患者の数は
    2008年には倍以上の130万人を超え、
    2012年においては前年比約7%増の253万人に達しています。
    このようにタイにおいては毎年1500万人を超える観光客が訪れるという、
    既に確立している観光産業と医療を効果的にリンクさせ、
    更に政府による積極的な支援によって、
    Medical Tourismという成長産業を創出し、
    急成長を遂げてきました。

    2008 年度はMedical Tourismにより、
    同国の観光収入の1割に相当する1822 億円の収入を得たとしています。
    そのうち病院収入は521億円で残り1301 億円は患者や家族による観光収入となっています。

    その結果、タイの医療業界は同国GDP(国内総生産)を上回る年率15 ~ 20%で急成長しています。

    次稿では政府の目指す道と現実の乖離も含めてさらにタイのMedical Tourismを考察していきたいと思います。

    元衆議院議員 医師 吉田統彦拝

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    東奔西走南船北馬の吉田統彦先生

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